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夜空を眺める度にいっつも星に詳しくなりたいって思う。
あれは何座の何っていう星なんだ。とか冬の大三角形をすらすら言えたら良いなって思う。
でも知ってしまったら自分なりの星座を作ったり、オリジナルの三角形を作れなくなっちゃいそう。
理科の授業で少し星について習った時にそう思った。
自分が想像していた事には名前があって、いくら僕があがいても覆る事は無いんだって。
最近似たような事を思う。
大人が近付くにつれて「大人になりたくない」って思うのはまぁ皆思う事だろう。
でもそれは本心から「大人になりたくない」訳ではなくて、全部を知って見えちゃう自分が怖いからなんだなって思う。
夢は目を閉じている時に見れる事実が嫌に現実を現わしている。
小さい頃に想像していたキラキラな世界はあるはずもなくて、待っているのは踏み外せば終わりの平均台。
自分のペースで行けば渡り切れそうだけど、前にも後ろにも人がいっぱいで、すぐ近くで踏み外していく人が目に入る環境。
でも周りにはその平均台を自ら降りて自分の平均台を作ってスタスタ歩く人がいる。
そっちの方が簡単に見えるけどいざ想像したらめんどくさくて大変な感じもする。
そんな風に立ち止まっていると後ろの人が僕を追い抜いていく。
急かされるように前の背中を追っては立ち止まって抜かされての繰り返し。
自分の足で歩いている感覚なんてないし、誰かに履かされた下駄で追いつく為に伸ばす歩幅。
だけど時間は流れていくし、後ろを振り返る暇もない。
それに自分の下駄も歩幅も定まらない。
合ってない靴で歩いて靴ずれの痛みに耐えながら歩いてる。
自分に合う靴を探せばいいじゃんって言われるけど、探している間にも周りはどんどん先へ歩いていく。
ピッタリな靴で走って抜かしたいとも思うけど、合う靴が無いんじゃないか、そもそも走れる体力精神力は残っているのか考えてまた一歩踏み出す。
その平均台の先に何が待っているのかも分からないのに、ひたすら歩いていく。
こんな事を考えながら夜空をずっと眺めていると夜が深くなってわざとらしく星が輝く。
あぁ〜!世渡り上手になりてぇ〜!
それでは~~~